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なかなか別れを受け入れられない私に、それまで謝罪の言葉しか繰り返さなかった彼がとうとう折れた。
私が一番望まない方向に。
『分かった。…言うから、理由』
声だけで伝わる彼の覚悟に、心が大きく震えた。
それから怒涛のように押し寄せ埋め尽くすのは、痛みを伴った恐怖心。
私が何を言ってもどう足掻いても、彼の気持ちはもう揺るがない事を知った。
散々、理由を言ってと捲くし立てたのは自分なのに。
理由を聞いてしまえば私達は本当に終わりを迎える。
私には覚悟なんてまだできていなかった。
小さな子供のように耳を塞いで嫌だと喚けば、彼は戻ってきてくれると心のどこかでまだ信じていたかったのだろうか。
だけど、本物に勝てるはずなんてなかったのだーー。
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