S

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となれば、次に考えたのは自身が政治家になり、内側から仕組みを変えるという計画だった。しかし、政治の仕組みを変えられるほどの権力を持った役職に就くには、かなりの時間がかかる。例外的に若くして就ける場合もあるが、その可能性に賭けるのは無謀にもほどがある。さらに、政治の世界で生きていくには、時に清濁合わせ飲まなくてはいけない場合もあるだろう。いや、Sにはそれくらいの覚悟はできていた。だが、それよりも政治の世界で生きていくために、自分が何より嫌っている政治の仕組みに翻弄されることが、我慢ならなかったのだ。 このような理由から第二の計画も、断念することとなった。 そしてSが考えた第三の計画、それはインターネットを使い大衆に働きかけるというものだった。それは、SNSや動画配信サイトに自分の思想や考えを投稿し、それを見た人々を触発する。そして、そういった人々が増えれば自然と集団化して運動を起こす。そうなれば、あとは簡単だ。自分が彼らを扇動してやれば、運動は大きくなり、政治の仕組みを変えるほどの力を持つだろう。 Sはこの計画なら、うまくいくと思った。 自分がするべきことを決めたSは、計画をうまく遂行するために、勉強をした。心理学、歴史学、言語学、とにかく役に立ちそうな講義は学部に関係なく自分が受けられるものは全て受けた。講義で触れられなかった内容は図書館で文献にあたり、独学で学んだ。そのころ彼は、一日のほとんどを勉強に費やしていた。全ては世の中を壊すという目的のためだった。 そして大学の卒業式を控えたある日、Sは計画を実行に移すことにした。 まず、Sは動画投稿サイトに動画を投稿した。     
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