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「逆に聞くようだが、貴様はどこまであの女のことを知っている?」
「あぁ……そうだな。奴の口からは、ストリートレースの世界に入るまでは救急車のドライバーだって聞いてたが。あとは宝クジでムルシエラゴを買ったってとこか」
「それで?」
「それだけさ」
「そうか。それでよく相棒を名乗れていたであるな」
「うるせぇよ」
「レオナルド、貴様の既成概念、全てが間違っているであるぞ」
「は……?」
ブゥン、という音と共に、空調が動き始めた。
不思議な部屋だ。
二人の椅子の他にあるのは、サイドテーブル、ギタースタンドとアンプ、そしてソファーと小型の冷蔵庫のみ。
JVはこの一室のみで、どのような生活を送っているのだろう。
「だが、あながち貴様の気もわからんでもない。我輩も奴に疑いを持ち始めたのは、このチームに奴を招き入れた後のことであった」
「なるほど、テメェの計画は奴の登場から既に始まってるもんなのかとすら思ってたが」
「不思議と褒められている気がしないジョークであるな。左様、さまざまなケースを想定して我輩もヒューガに関しては隅々まで身辺調査を行なったである。その結果……」
「結果、どうだった?」
「シロだった。ヒューガが所属している病院も実在していて、さらには宝クジの当選者リストにも奴の名があったのである」
「じゃあなんで…」
「データの上では、の話だがな」
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