パトカー6号と高滝公民館

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理沙は黒いハンドバッグの中から、ライターとロウソク、2枚のB5サイズの公図を取り出した。 杉林の地面の上に2枚のB5サイズの公図を置いて、ライターを使いロウソクに炎を灯す。 公図を見つめながら、このあたりに道があるはずだと自信のある顔をしていた。   あった、あった、これよ、ここだわ… 公図とは明治時代に作成された地図で、600分の1に縮小して記載されている。戦前の話になるが田舎の公道とは、9尺幅の道路と6尺幅の道路が多く存在していた。 終戦後車社会になり、自然と6尺幅の道路は消えてしまった。つまり理沙は赤道(公道)の亡霊を探していたのだ。 杉林の所有者が誰なのかは不明だが、杉の苗木を植える際に赤道(公道)は避けて植えている。 50年後、100年後の事を考えれば、杉の苗木は成長するので公道から2~3メートル離して植えるのが常識であろう。 6尺道路を歩いているうちは、あのレイプマン黒田明に発見される可能性は低い。スマートフォンで周辺道路を調べても、6尺幅の赤道は地図に載っていないからである。
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