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タンタンタン、タンタンタン、高滝神社の石段は全部で105段。理沙は緑のコケに覆われた石段を登り始めた。石段の厚さは約20センチなので、105段だと約20メートルになる。急に20メートルも高台になると、今まで見えなかった景色が視界に入って来る。よく猫はバカだから、高い所が好きと言うがこれは間違っている。猫は高台に身を構えてすべての情報を集めているのである。
ようやく高滝神社の頂上付近まで登ると、最後の石段の左側と右側に2匹のきつねの石造が門番のように立っている。
あっ、キツネだ、こ恐い…
深夜のせいもあるが、きつねの石造からは不気味さが伝わって来た。
最上段を踏んで2匹のきつねの石造の間を通り抜けると、切妻屋根の本堂が視界に入った。建物は本堂しかなく、建物前面のさいせん箱を置いてある間口は3間、奥行も3間ぐらいしかない小さな本堂だった。
本堂を囲うように直径2メートル以上ある檜が6本そびえ立ち、4匹のきつねの石造が本堂を守るように東西南北に座っていた。
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