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理沙は高滝神社の崖を背にして本堂の横を通過する。高滝神社の階段の最上段に座っている、2匹のきつねの石造の間を通過してさくさく降り始めた。
ええっ!な、何、や、やばいよ、これ、あいつだ、
あいつが探しに来たんだ…
鳥居の門の方角に目を向けるとライトの明かりが見えたのだ。
♪とおりゃんせ、とおりゃんせ、ここはどこの細道じゃ♪
急に理沙の頭の中に、童話のとおりゃんせの歌が聴こえて来た。
♪行きはよいよい、帰りは恐い、恐いながらも、とおりゃんせ、とおりゃんせ♪
童話のとおりゃんせの歌と同じで、行きは大丈夫だったが帰りは恐いのだ。
ハアハア、ハアハア、理沙は数段降りた石段を一気に駆け上がった。再び最上段に座っている2匹のきつねの石造の間をくぐり抜けて本堂の前に戻って来た。
階段の他に降りる道はないの?…
檜の大木に右手をあてながら崖下を見下ろしたが、傾斜が凄くてとてもではないが降りられない。
早く、早く隠れないと、どうしよう!…
すでに、あのレイプマン黒田明は、高滝神社の石段を一歩一歩登って来ていた。
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