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今がここで、この場所はちょうど十字路なんだ…
住宅地図を見るまでわからなかったが、林家商店は十字路の角地に位置していた。
メリ、メリ、バリッ、この住宅地図は使えるわ、
もって帰ろう、自力で脱出せねば…
理沙はハンドバッグの中に、新聞紙半開きサイズの住宅地図をしまい込んだ。
スマートフォンが使えない状態になると、たちまち昭和の時代に逆戻りしてしまう。五感を働かせて行動しなければならなかった。
カツ、カツ、カツ、カツ、理沙はカウンターから離れて林家商店の店内を歩いて行く。セメントの上を歩いているので、靴の音がカツカツと鳴った。
林家商店の店内の広さは20坪程度の規模で、何も置かれていなかった。奥に進むと裏口ドアが見えた。
住宅地図には林家商店の他に、床屋、電気屋、豆腐屋、クリーニング屋など、ちょうと見ただけでも十字路周辺には沢山の店舗が軒を連ねていた。
理沙は疑問に思っていた、何故なのと、何故誰も人がいないのかと、疑問に思っても教えてくれる人もいないしスマートフォンで、調べることも出来ない境遇に置かれた自分、そう頼れるのは自分の五感だと、気がついていた。
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