パトカー6号と高滝公民館

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高滝公民館の玄関のガラス戸が開いた瞬間に、裏口ドアを開ければ音消しは可能だろうし、敵の黒田明も気がつかないだろう。しかし鍵を開けたまま逃げるので、裏口に潜んでいたことがばれるのは時間の問題だろう。 レイプマン黒田明が高滝公民館の玄関ガラス戸を、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、と開けた瞬間に理沙も裏口ドアを開けて、ドアをバタンんと閉めた。理沙は下り傾斜の針葉樹林の中を走って闇に消えて行く。 ハアハア、ハアハア、だいぶ走ったわ、ここまで逃げれば大丈夫… 理沙が後ろを振り返ると、高滝公民館は自分の位置と比較して、10メートル近く高台になっていた。 この辺りに道があるはずなんだけどな、暗くてわからないわ… 理沙は気がついていた、林家商店の地主はこの辺り周辺の大地主だったことだろうと。 太い赤松の木と、太いさるすべりの木が、証拠として残っている。元々は高滝公民館の不動産も林家商店が所有していたことだろう。 おそらく林家商店の旦那様は、高滝部落の人達に、旦那様、お願いがあります、この高滝部落も公民館が必要なんです、なんとか旦那様土地を心配してもらえませんかと、権力者だった林家商店の旦那は、家の奥の敷地200坪ぐらいでよけれは、お譲りしますよと快諾したのではないか。
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