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フランソワ・オゾンという美しい毒 【1】
フランソワ・オゾンは、一般的な日本人が「フランス映画」に持つイメージも持ち合わせつつも、それ以上の映画を生み出す監督ではないかと思っています。
映像は隙のない、計算しつくされた美しさを保っています。
表現は人間の持つイヤな部分、特に女性特有の醜い部分を見せるテクニックが洗練されていて、同じ女性としてモヤッとしつつも受け入れるしかない説得力があります。
脚本はよく練られており、私は映画の結末が見えた瞬間に「こうキタか、やられた・・・・」と何度思ったかしれません。
いっそ清々しいほどの敗北感です。
それらの洗練された美しい毒に魅せられてしまうと、新作を観るために映画館に通うことになります。(私は特に、中身を伴った美しいものに弱いので。)
これから紹介する『ぼくを葬る(おくる)』は、オゾン監督の映画で、敢えて順位をつけるなら2番目に好きな映画です。
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『ぼくを葬る(おくる)』
主人公(カメラマンの男性)の体をガンが蝕み、余命は長くない。
治療を拒み、残された時間で、まず、彼は恋人(男性)と別れる。
愛し合った後に、病気のことには一切触れることなく別れ話を切りだす。
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