ダンジョン、それは理想郷もかくや

6/6
前へ
/13ページ
次へ
互いに挨拶を済ませる。 これから始まるであろう長い戦いのその幕開けに。 さて、とこぼし、ブライはきびすを返す。 白衣をひるがえし、二、三歩進むと周囲を見回す。 「感激ばかりもしていられないな」 そしてまたくるりと向き直す。 両腕を肩の高さで左右にばっと広げると、子供っぽい笑みを張り付けたにやけがおで、今にも溢れ出しそうな気持ちの高ぶりを押さえながら、ブライは言い放つ。 「それじゃあ早速、ダンジョンとやらを作ってみるとしよう!」 わくわくが止まらない。 ドキドキで破裂しそうだ。 あらゆる感情が渦を巻き。 あらゆる思考が駆け巡る。 やりたいことが山程ある。 やられたいことも山程ある。 自身を用いて実験の限りを尽くし。 世界を利用して実験の限りを尽くし。 探求心を満たし。 好奇心を満たし。 誰もが見たことの無いような、恐るべきダンジョンを作り上げるべく、ブライは動き出す。 「さあ、何から始めようか」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加