研究者のおっさんはダンジョンを開放せず交渉だけで生き延びます

ダンジョン基礎講習

なるほど、とブライは頷く。
まあ予想通りの答え。
似たような回答を、ブライは一度聞いたことがあった。
それを踏まえ、さらに質問をする。

『ということは、モンスターを狩る方向で建設して、人間に危害を加えない感じでもいいということだね？』

テーマパークがどうこうと、コアは言っていた。
確かにダンジョンでありながら無害と判断されたものもある。
そういったダンジョンが存在することを、研究の中でブライは知っていた。

『そうなります、ダンジョンの運営方針についてはダンジョンマスターにすべて一任されていますので』

何をしてもいい。
それはすなわち戦わなくてもいいということだ。
ダンジョンとは本来、お宝を餌に冒険者を誘い込み、罠とモンスターで死に追いやる、危険なものとして人々から恐れられている。一攫千金を夢見る冒険者が、無謀にも挑戦し帰ってこなかったなんて話はざらにある。
しかしそうでないダンジョンも一定数ある。
ダンジョンだからといって、必ずしも誰それを襲う必要はないのである。