究極農業兵器オメガ

はじめまして

　東京都南大曲市八重窪町２丁目に、農業を営む新田家が暮らしている。
　長男、新田宏作が夏に向けて トウモロコシの種まきから戻ってきた時 玄関の前に大きな段ボール箱が 通せんぼするように鎮座していた。
家の中で昼寝をしていた柴犬のコロが誰かが来たと鳴いていたからどこかの宅配便が置いていったのかも知れないし、母親の喜美子がインターネット通販でペットボトルのお茶や麦茶を取り寄せることはよくあるが、足元の段ボール箱ははるかに大きい箱の上には伝票が張り付けてあり、送り主の名前は宏作には覚えがあった。
　石垣　智恵美
　母方の従姉妹で名前の通り大変聡明で、叔父と叔母は親戚の集まりの時には鷹を産んだトンビなどとよく言われる位頭が良く、宏作もしょっちゅう比べられていた。
　親たちは何気なく言ってはいたが比べられた本人からしたらそれは多少なりとも心が傷つく発言で、それに伴って比較対象だった彼女との距離はこちらの勝手だが置いていくようになった。

確か彼女は今どこかの研究所に勤めて若くして開発チームのリーダーをやっていると彼女の母親が数年前の正月に嬉しそうに話していたことを思い出した。