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「智恵美ちゃんが? めっずらしい」
「何だその箱?」
トラクターで畑を耕していた父親の和巳が汗でシャツを濡らして玄関に来ていた。
「智恵美ちゃんが宏作にって」
「はぁー、珍しいもんだ。中身は? 伝票に書いてあんだろ」
父親に言われて伝票を見ると品名の項目には、今まで受け取ったことのない文字が書かれていた。
品名 最終兵器 ワレモノ注意
「宏作、あの子に何か嫌がらせした?」
「するわけないじゃん! 最近会ってすらいないのに」
喜美子の不審な視線に息子は首を横に振った。
「とりあえず、昼だから飯にしようや」
和巳の一言に冗談のような荷物は一端置いとくことにして各々履き物を脱いで家に上がった。
茶の間で昼食のそばをたぐっていると、インターホンがなり、柱にかけてあるモニター画面に顔見知りの配達員のお兄さんが映っていた。
玄関に近い宏作が出ると、喜美子がネット通販で買ったお茶の段ボールケース持ってきた。
「あ、じゃあこの箱の上に重ねて下さい」
宏作の言うように配達員は玄関に置いてあった大きな段ボールに重ねて置き、伝票の受領欄にサインを受けとると、ありがとうございましたと礼を言ってドアを閉めた。
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