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悲鳴を上げた途端に段ボール箱は上に忘れたペットボトル茶のケースを体を揺すって振り落とし、段ボールのフタを内側からはね上げた黒い何かが宏作の体をべチャリと覆いかぶさった。
「装着者登録・・・登録完了。現時点より私、オメガーアルファは新田宏作及び新田家の所属とする」
男女どちらとも取れる中性的な音声が流れ、新田家の長男を解放した後にそれは黒い球体に変わった。
奇妙奇天烈。今どき使わないフレーズだが今新田家の人達にはその言葉しか思い浮かばなかった。
丸くて黒いそれはバランスボール位の大きさで、つや出しされたように光沢を放ち正面にはエメラルドのような輝く緑色でギリシャ語のΩ(オメガ)マークをことらに向けている。
「 改めて初めまして。 私は石垣智恵美が、率いる研究チームにより、開発された、次世代型労働補助スーツの試作、オメガアルファ。そして、これからよろしく」
オメガの文字が点滅しながらそれから声が聞こえた。たったそれだけでも喜美子は腰を抜かし、宏作は倒されたまま後ずさった。立っていたのは和巳だけで、コロはいつの間にか廊下の奥まで逃げていた。
「な、何だお前は、宇宙から来た侵略者か! それとも未来の殺人マシーンの新型か?!」
宏作は自分でも分かんないことを自分を襲った物体に叫んだ。
「発言の意味は不明だが、私はあなた方に、危害を加えるために来たでわけではない」
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