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「博士、ここは相手側の要求を拝受することが得策」
宏作は智恵美の 背後から 聞こえた声の方を見ると 、黒髪の少女が大型犬用のキャリーケージを足元に置きながらこちらに顔を向けていたその声に感情が込められていないのが分かった。
鳶色の瞳は眠たそうにも見えるが、よく見れば彼女は人間でないということが宏作には感じられた。
さっき昼食時のワイドショーで、人間に限りなく近い外見のアンドロイドを日本の企業が、国際イベントで発表することを放送していたけども、彼女の顔が その件のアンドロイドの顔によく似ていた。
「ラムダ、やはり来たか」
いつの間にか動いていた騒動の原因が頭に家族と来客用の湯のみ茶碗を乗せたお盆をのせて、お茶の支度をしていた。
「母ちゃんそいつに何をやらせてるんだよ?!」
「智恵美ちゃんが来るからお茶の支度してたら、この子が手伝うって言うから手伝ってもらっただけよ?」
「おばさん、オメガはそういうことのために作ったんじゃないんです! やらせないで下さい」
3人が 騒いでいるのをよそ目に 屋主 は 自分の湯のみをとって茶をすすり オメガに向かって言った。
「これじゃ濃いな。次からお茶っ葉もう少し減らして」
「了解した。給湯技術アップデートを開始する」
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