4人が本棚に入れています
本棚に追加
「 先ほどニュース速報にもあった通り 私が勤めている 門松重工が 完全自立型二足歩行ロボットを国際技術エキスポに出店することが報じられたのはご存知ですか」
にった家の茶の間でちえみは白衣姿のまま正座し、 出されたお茶をすすりながら話を始めた宏作は知らなかったようだが彼女はかなりの猫舌らしく、何度もお茶に息を吹きかけてから初めは湯気を吸い込むようにして恐る恐る啜っていたのはなかなか衝撃的だった。
一方彼女の隣にいるオメガがラムダと読んでいた女性はお茶ではなく氷も入れないそのままの水を所望して少しずつ飲んでいるがその飲むタイミングがちえみが飲んでから慌てて同時に飲み始めると言う少しおかしな光景になっている。
門松重工といえば南大曲を含めた東京都の西側、多摩地域と呼ばれているところで埼玉県との境目近くにある大企業の名前だ。
現在は電車の車両を製作していると聞いているが、死んだ祖父から聞いた話では戦前は日本軍の戦車を作成していたらしく第二次大戦中には門松重工にまっすぐ通る道だったこの南大曲市にも米軍からの絨毯爆撃の被害に遭い、戦後しばらくは不発弾が見つかることはしょっちゅうだったと聞いている。そういうことがあってからか祖父はアメリカを憎み、特に白人のことを「モロコシカブリ」と死ぬまで言い方を改めなかったことまで思い出す。
最初のコメントを投稿しよう!