彼女が現れた

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『はい、こちら…』 「ママー?再良だよー」 電話越しの若い女性の声を再良の声が食いぎみに遮った。 その相手は少し落胆気味に答えた。 『…再良ちゃん…また何かあったの?』 「何でそんなにガッカリしてるの?…そうなんだよー」 『…気のせいよ。で、何があったの?』 「なんかぁ、車がすごい勢いでさぁー。一瞬だったからビミョーだけど、<あの車>?と思ったから、後で確認するつもりー」 『え、後で?あの再良ちゃんが後で?』 意外だ、というように母親の声が訊ねてくる。 「だって、今はデパートに行くから。」 再良が即答した。
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