1. 滅亡の象徴

7/8
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「サクラを見たいんですか、って言ったんです。」 しかし、男は紛うことなくそう言っていた。 ーーまさか、サクラが見れるのか……? 私の中で、にわかに湧き上がる期待感。 酔った勢いか、あるいはサクラの魔力か、 普段であれば、人との関わりを拒絶するほどの人見知りの私だが、 この時ばかりは二つ返事で応えていた。 「ええ、ええ、見たいです。」 ところが、男の返答は拍子抜けするものだった。 「……ですよねぇ。見たいですよね。 私もそう思います。」 男はそう言って微笑むと、再びグラスの焼酎を口に含むのだった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!