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お風呂取調室
「現場には監視カメラが設置されていましたが、そこにあなたが映っている可能性はありますか?」
机以外何も置かれていない殺風景な部屋に私の声が響く。
私の向かい側に座っている男の眉がピクリと動いた。
「……もしかしたら映っているかもしれない」
「そうですか。では、あなたの部屋に盗られたものと同じものがある可能性は?」
男は頻りに視線を泳がせ、額にじんわりと脂汗を浮かべている。
「別にあなたが犯人と決めつけているわけじゃない。あくまで可能性の話です。どうですか?」
私がやんわりと、しかし視線を逸らすことなくそう問い掛けると、これまで頑なに自分の非を認めなかった男が力なく頭を垂れた。
「……俺が……やりました……」
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