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部活は小学校から続けている野球部に所属し、朝練、午後練、土日も練習や試合に精を出していると妻から聞いている。
小学生の頃はたまに時間が合えば一緒に風呂に入って話したりもしたが、中学生になってからはもう親父と一緒に風呂に入るのは嫌だろうと思い、誘わなくなった。
同時に自室を与えたことも手伝って、リビングにいることも少なくなり、仕事柄夕食の時間も合わないので顔を見ることは殆どない。
様子を窺い知ることが出来るのは妻からの報告のみになっていた。
「ただいま」
「あら、今日は早く帰れたのね。おかえりなさい。ご飯出来てますよ」
「ありがとう」
玄関まで出迎えてくれた妻に鞄を手渡し、寝室でスーツから部屋着へ着替えるとリビングへ向かった。
「おかえり」
「ただいま。今日はハンバーグか」
そろそろあっさりとした和食を好む年齢なのだが、育ち盛りの男子がいる為、肉のメニューが多くても文句は言えない。
せめてもの気遣いなのか、息子はデミグラスソース、私の方は大根おろしが乗せられている。
「学校の方はどうだ? 楽しいか?」
箸をつけながら向かいに座る息子、直に問い掛けた。
「ん、普通」
この返答に少しばかり面食らった。
以前は学校で何があったか小さなことでも話してくれたのに、たった2年弱でこうも変わるとは。
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