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これまでその類の問題は皆無だったから驚いた。
「悪口でも言われてるのか?」
「それは見てないんだけど、仲のいいグループから強制退室させられてたのよ」
「なんでまた」
「それがわからないから困ってるのよ。何かあった? って聞いても何も言わないし」
言われてみれば、反抗期というよりもやけにテンションが低かった気がする。
「……風呂は沸いてるかな?」
茶碗に残った最後のひと口を頬張るとそう問い掛けた。
「沸いてるけど……すぐに入る?」
「ああ、直と一緒に入るよ。少し話してみる」
食器を流しに置いてから直の部屋へ向かい、静かにドアをノックした。
「何?」
すぐに中から声がした。
「勉強中すまんな。久しぶりに背中流してくれないか?」
「え? 一緒にお風呂に入るってこと?」
「たまにはいいだろ」
しばしの沈黙の後、ゆっくりとドアノブが回ってドアが外側に開いた。
「本気? 狭いと思うけど」
「2人ぐらい大丈夫だろ。先に入ってるから後からおいで」
そう言って私はさっさと浴室へ移動した。
最近、少しばかり少なくなってきた髪を泡立ててからシャワーで流していると「入るよ?」と腰にフェイスタオルを巻いた姿の直が遠慮がちに浴室のドアから顔を覗かせた。
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