猫と私

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しかし、私が13歳のときに転機が訪れた。 里親になってくれる夫婦が現れたのだ。 夫婦は私を養子として迎え入れ、優しく、ときには厳しく、我が子のように育ててくれた。 その夫婦は実の子供を事故で失ったらしい。その子も身体に障害をもっていたという。 「あの子の代わりというわけではない。ただ、君を見ているとあの子を思い出すんだ。あの子も君と同じように、強く逞しく生きていた。君も遠慮せず、私たちを本当の家族だと思って接してくれ」 気が付いたときには私に家族なんていなかったから、家族というものがどういうものなのかわからない。 しかし夫婦と過ごすうちに、家族ってこんなに温かくて優しいものなんだと知ることができた。
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