幸せというもの

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苦あれば楽あり 楽あれば苦あり という言葉を噛みしめている。 金曜、土曜日と、東方神起のライブで浮かれていた。 友だちが、中華街で占いをしたいというので、ライブ前に行ってみた。  横で見ていたら、恐ろしい程、現在の状況を言い当てられていた。  友だちもはっきりとした性格なので進むべき方向はわかっている。  なのに、楽な方向で足踏み状態だったのである。  「足踏みやめるわ」と言っていた。  こりゃ面白い!と思い、特に悩みもないのに 「わたしもみて下さい」と、ノリノリで言った。 「何を知りたいの?」と言われたので、 「小説を好きで書いてるのだが、どうでしょう?」 と、曖昧な感じでヘラヘラ言った。 手相では 「体力ないけど生命力が強い 先読みし過ぎるクセは運気がさがるのでやめなさい 色事のゴタゴタに注意しなさい」 「最近は、寝る前に頭を真っ白にして寝るよう心がけてます! 色事は………だいぶ前に卒業しました!」 と、思わず言い訳したわけであるが。 易?何か細い棒じゃらじゃらのヤツ。 後 七赤金星というのは知っていたが、それらを総合して。 「今年は開運。 来年は幸運。 チャンスの時だから迷わず進みなさい」 とのこと。 「了解しました!」 と、元気よく言った。 「後ね…… あなたが入ってきたときに、如来様が見えたのよ」 と、言われた。 「いや、 わたくしなど、ほんとにただの小市民で…」 赤面しながら言った次第。 つーのは裏腹で、天にも登る心地である。 何かに守られているのか、と感じるのはうれしいものだ。  つー感じで。  日曜日は、もう寝たきりの義父の見舞いに行った。  変わらない状態だったので、安堵した。  浮かれながらWOWOWでまた東方神起に浸り、  月曜日には、友だちとカラオケで歌いまくった。  七時過ぎに家で夕飯を一口食べたとき。 義父が亡くなったと知らされた。  病院に行き、葬儀の段取りなどでバタバタで、今に到る。  葬儀屋に勤めはじめてよかった。 気心の知れたスタッフが、親身になって義父のお見送りの手配をしてくれている。  十年、介護をしたから、悔いはない。 悲しみより、安堵。  だが今、周りの人々の心遣いが身にしみて泣きそうである。  小説は焦らずに書けと、誰かが言っているのだと思った。   浮かれてんじゃねーぞと。  今は心静かに、義父を送ってあげようと思う。
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