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【神楽 ソラ】
「あ~」
「キャー」
荒廃した廃墟の中で、汚い服装に身を包んだ頭の寂しい男が、逃げ惑うスリムな女性の肩に噛みついた。
「誰かぁ、キャー」
助けを求める声も虚しく、女性はその場に倒され、襲った男はムシャムシャと音を出して、肉を頬張るように女性の人肉を喰らっていく。
「貴方はこの世界を生き抜く事ができるかぁ?ゾンビJAPAN!9月30日上映開始」
ここは、北海道の歓楽街、すすきの にできたショッピングモールにある映画館の入口。
最新のゾンビ映画の宣伝を大きなスクリーン画面で放映している。
ゾンビ映画といえば、毎度 似たようなお決まりの展開。
ゾンビに噛まれたら、その人は感染する。
生き残りをかけたサバイバル。
生きようとする者。
死のうとする者。
自殺する者。
裏切る者。
絶対に関わりたくないドロドロとした人間関係。
俺はそんな映画の宣伝を疲れた溜め息をして、黙って見つめていた。
「こんなこと起きるわけねぇじゃん」
呟いた後に、俺はその場を後にしてバイト先に向かう。
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