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「加山さんに話しを聞きたくて...... 」
愛想笑いから一転して哲也が真面目な表情になる。
「さっき見たんです。廊下で会ったときに加山さんの右肩や右足に黒い靄のような物が見えたんです。一瞬だったんで気の所為かもしれないけど......それで驚いて加山さんに睨まれて目にゴミが入ったって言って誤魔化したんです。それで加山さんが化け物に襲われているって話しを聞いて何か力になれればって......一応警備員ですから夜も巡回していますし......それで詳しい話しを聞きたくて来たんです」
眼光の鋭い加山には嘘は無駄だと哲也は本当の事を話した。それが功を成した様子だ。
険しい顔を更に顰めて加山が重い口を開いてくれた。
「黒い靄か......本当に見えたんだな? 」
「ハイ、見ました。右側だけに纏わり付いていたように見えました」
「右だけか............俺が話した化け物の話しをどこかで聞いて調子を合わせているだけじゃないみたいだな、そうだ......右だけだ。今は右だけなんだ」
加山はベッドの上に座ると哲也を近くにあった椅子に座るように促した。
これは加山亮さんから聞いた話しだ。
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