第三話 染み

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第三話 染み

 古い家の天井や壁には染みの一つくらいはあるはずだ。比較的新しい家でも作りが悪くて湿気が溜まりいつの間にか天井などに染みが出来ている事もあるだろう。  昔からある民宿や古民家などは天井一面に染みが浮いている事も多い、それが趣があって良いところでもある。  染みとは不思議なものである。いつ出来たのかもわからない、いつの間にか形が変わっているなどよくある事だ。  染みが出来るのは家屋や家具だけではない、家や家具と同じように年を取ると人にも浮いてくるものだ。これら目に見える染みは化粧で隠したりアンチエイジングで目立たなくすることが出来る。  だが心に出来た染みはどうだろうか? 気付かない内に古民家の天井のようにいっぱいに広がって手の施しようが無くなっていたら......。  ある天気の良い日、哲也は昼食を食べた後に磯山病院の敷地をブラブラしていた。散歩というか、歩きながら日光浴をしていたのだ。     
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