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圭人は棚から取り出した・・多分・・10冊以上はあろうかと思われるスケッチブックを腕に抱えて・・さっきの場所に座った。 「・・千雪・・見て」 圭人は私に一冊のスケッチブックを差し出した。 なんで今、こんな物を?・・正直・・そう思いながらも・・・私は圭人に差し出されたスケッチブックを開いた。 ――え?これって・・・全部・・私・・? 小学生の頃から中学と・・色んな私が描かれてた。 一つ一つの絵がとても丁寧で綺麗に色を塗ってあるものもあった。 ・・描き手の・・圭人の・・思いが伝わってくるような・・優しくて・・温かい――!嘘・・まさか―― 「それ・・俺の宝ものだよ」 私はスケッチブックから弾けるように顔を上げて圭人を見た。 「物心付いた頃から俺の隣にはいつも千雪がいた。・・千雪は可愛くて・・強くて・・クスッ・・俺を守ってくれた。・・俺、千雪を描きたくて絵を描き始めたんだ・・千雪の可愛い仕草の全部を・・描き留めておきたかったから」 「・・圭人」 圭人は今まで見た事もないような優しい目で私を見てた。 「千雪が俺と同じ学校を受験してくれた時は本当に嬉しかった。・・千雪が傍にいない一年は・・寂しかった。ありがとう千雪・・俺を追っかけて来てくれて」 私の手に温かい雫が落ちていた・・不思議だ・・今日の涙は何故か温かかった。 圭人の言葉は・・嬉しくて・・切なくて・・後から後から涙が溢れた。 「俺・・今までもこれから先も・・千雪しか描けない。俺の目には千雪しか映せないよ。・・だから千雪、俺に千雪を描かせて」 止まる事を知らない私の涙を圭人はさっきと同じように・・優しく拭ってくれていた。 圭人の言葉に色んな迷いや不安が消えていった・・何も気付いてなかったのは私だった。 「・・圭人・・私の気持ち知ってたの?」 「クスッ、言ったよね・・俺の方が千雪より千雪の事・・知ってるって」 圭人の綺麗な顔がゆっくりと私の頬に近付いて・・・触れるだけのキスをした。 なんだか・・予感がした・・これから始まる甘い恋の予感が。 ――End――
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