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圭人の後ろ姿が視界から消えるまで・・・私は・・ぼうっと見てた。 え?・・制服のスカ―トに冷たい滴が落ちた。 ふうっ・・バカみたい・・冷たい滴は私の涙だった。 失恋・・・その二文字が頭に浮かんで胸がズキズキして痛かった。 自分が可哀相で哀れで拭っても拭っても溢れる涙は止まらなかった。 中学の担任の先生に偏差値が足りないから志望校を変えるように言われても圭人と同じ高校にどうしても通いたくて必死で勉強した。 ママに頼んで苦手教科を補強するために高いお金、別に払って塾での個人授業を増やしてもらった。 土日も遊ばないで勉強した・・合格したら圭人と一緒にいられる・・それだけを思って。 圭人のバカ・・鈍感・・・私の気持ちにちっとも気付いてくれない圭人に腹がたった。 わかってる・・圭人は何も悪くない・・バカは私だ。 私はこの気持ちをどうしたらいいのか分からなくて・・一人取り残された裏庭で只、泣くしかなかった。 次の日から私は圭人と距離を取る事にした。 家に帰っても圭人の家に行かない・・携帯の電話もラインも私からは一切しない・・登校も別にする事にした。 登校は私からアクションを起こす前に圭人の方から別にされてしまった。 なんか高校美術展に出す作品の製作に取り掛かったからって・・・何時もより早い時間に家を出る事にしたらしかった。 圭人のママから聞いた。 自分から距離を置くと決めたくせに圭人から直接言ってもらえなかった事が残念だった。 圭人と裏庭でお昼を食べたあの日から4日たった。 登下校も別でお昼休みも会わない・・圭人の家にも行かない・・そう決めてからまるっきり圭人と会う事も学校で姿すら見る事もなかった。 私から連絡しないと決めたけど・・圭人から電話もラインも一切くる事はなかった。 なんだか落ち込んでしまった・・圭人と距離を取るなんて言いながら圭人からの電話やラインを待つ私がいた。 気が付いてしまった・・電話の着信履歴もラインも・・圭人から始まる物は何もなかった事を。 電話をかけるのもラインを送るのも全て・・・私からだった。 私はほんとにバカだ・・・いろんな事に気付いても・・やっぱり、あの裏庭でお昼を食べていた。 ひょっとしたら・・圭人が来るかも知れない・・そんな淡い期待を胸に抱きながら。 一人で食べるご飯はちっとも美味しくなかった。 もう・・4日も一人でこの裏庭でお昼を食べている。 今日のお昼休みも後、10分くらいで終わりだった。
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