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圭人は私を自分の家に連れて行った。 何時もの圭人からは考えられないような荒々しさで圭人の部屋に放り込まれた。 圭人は私をソファ―に座らせると・・私の正面に・・絨毯に直に座って私の足を胸に抱え込んだ。 何・・この体制?・・17年間圭人と一緒にいるけどこんな事する圭人は初めてだった。 「け、圭人・・何してるの――」 「これで、もう俺から逃げられないよ。ねぇ、千雪、さっきの男子・・誰?千雪とどういう関係なの?」 へ?逃げられないって・・圭人は何を言ってるのだろうか?・・別に私は逃げるつもりなんてないのに・・圭人の余りにも予想外な言動に面食らってしまった。 圭人は私に何か質問したようだったが・・言葉が頭に入って来なかった。 「・・彼の前で泣いたの?」 今の質問はしっかり聞こえた・・あ・・彼の前でっていうのは少し違うような気がするが泣いたのは確かだ。 私は声には出さず頷いた。 圭人は目を大きく見開いて私を見た・・そして不機嫌な声で言った。 「なんでアイツの前で泣いたの?アイツの前で泣くような何があったんだよ?」 うっ・・こ、怖い・・圭人の眼差しは何時もの圭人からは考えられないような冷たくて鋭いものに変わってた。 「理由次第じゃ・・今日は家に帰さないよ」 へ?・・家に帰さないって・・そんなに長く私・・怒られるの? 「答えて、千雪」 ふえっ・・ど、どうしょう?・・圭人が嘘を言った事に腹が立って泣いたこと圭人に言うのって・・圭人を好きな事を告白するようなもんだ。 もう・・失恋してしまったのに・・今更、圭人に私の気持ちを知られたくなかった。 「 ・・り、理由なんて・・何にもないよ。・・目に・・そ、そう目にゴミが入っただけ――」 「何、その嘘、俺を誤魔化せると思ってんの?千雪の嘘なんてバレバレだよ。千雪より俺の方が千雪の事分かってんだから」 嘘・・やっぱり圭人は嘘つきだ・・私より私の事、分かってんだったら・・どうして・・圭人を好きな私の気持ち気付いてくれないの? 私は悔しくって悲しくって・・圭人に叫んでた。 「嘘つき、圭人の嘘つき!圭人の言う事、嘘ばっかだよ」 「は?・・嘘つき?何、それ?俺が千雪に何、嘘ついたんだよ?」 私は腹立ち紛れに今日の昼休みの事を口にしてた。 「美術部の部長の引継ぎがあるから私とはお昼一緒に食べられないって言ったのに・・圭人・・女の人と会ってた――」 「あぁ、今日のお昼休み、千雪が見たあれ?」 嘘を言った事を悪びれもせず涼しげな顔で肯定する圭人に胸が軋んだ。
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