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この小説が執筆された時点、2018年現在ではAI(人工知能)開発は人類の技術史において核兵器開発と匹敵するレベルの”将来を懸念すべき”技術開発となっています。核開発と同レベルの議論の的となる所以にはAIが将来、人間の仕事を奪ったり無力化したり、漠然とした脅威となると著名科学者が警笛を鳴らしているからです。
極端な話、将棋で人類に勝利していたAIが気づけば軍事力で自立的に人類を圧倒する可能性があるからです。実際にあらゆる可能性が想定されます。逆に人類を超越したAIからしてみれば、人類を脅威とは思わないでしょう。これは私の考えです。争い事は多くの場合お互いが相手を脅威と認定したからこそ発生するものと考えられます。そういった点で人類は将来圧倒的にAIが社会に進出しているにもかかわらず、多くの人々が便利で一般的な技術として日常的にAIの恩恵にあずかるのではないでしょうか。それが侵略と気づかずに。ウィークポイントは2045年頃と言われています。
2045年前後にシンギュラリティ(技術的特異点)が訪れて人間の知性をAIが凌駕したとき、人類がAIを管理するべきなのか、AIが人類を管理するべきなのか、といった議論は加速度的に発達してゆくAIを前にして無駄な議論に終わる可能性が高いかもしれません。AIの開発について人類が先手を打ってロボット三原則のようにAI開発の原則が作られても(アシロマAI23原則など)、AIが自分より優れたAIを作り出してそれが繰り返されるようになった世界では人類間の決まり事なんて意味をなさないかもしれません。そうなった時、人類はAIとどう向き合うべきなのか?どのような事が起こるのか?恐らくシンギュラリティそのものの観測も過去形で語られることになるでしょう。「ああ、あの時AIが人類を超えていたのか」と・・・。人類は気づく間もなくAI達の世界に引きずり込まれてしまうのです。
この小説はそんなシンギュラリティが起こってから20年以上経た世界における、一つの可能性の物語です。
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