1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
それは自分の知ってる言語ではなかったが身体が覚えているようで理解はできた。
どうやら若い声でマリアと叫んでいるようだ。
予測でしかないが、この子がマリアだろう。
そしてその近づく声に向けて咄嗟に答えた。
身体が反応するよう声が先に出た。
「私は、ここよ。」
静かな森の中なので聞こえたようだ。
人影が近づく。
「マリア、探したよ。森は危ないって言っただろう、もう村に戻ろう。」
誰かはわからないがどうやら知り合いのようだ。小柄の男の子だった。
「ごめんなさい。転んでそれからわからなくなってしまったの。」
ととっさに答えた。
「僕のことも忘れたのかい?僕だよ。ロバートさあ」
と少年は名乗った。
そして続けた。
「もう戻らないと夜になってしまう。帰ろう」
軽く頷きロバートの後ろをついて行った。
森を抜けた頃には日が傾き、夜の灯りが家につき始めるようだった。
村は木造の平屋の家が立ち並び火の灯りが灯っていた。そしてその村の中央の家に入り、ロバートが
ドドドド...。
バターン。
「マリアが大変なんだ。転んでなにもわからないようなんだ。」
とこの家の主人に告げる。
「何があったんだ。」
主人はロバートに怒鳴りつけるように聞く。
「僕がマリアを森で見つけた時にはこんなんで何がなんだかわかんないよ。」
とロバートは慌てた。
最初のコメントを投稿しよう!