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呼び出し
お昼休み。私は理兎くんと校舎の中を歩き回っている。どうしてこうなったかには、ちょっと説明が必要なのだが……
これまでの休み時間は、女子たちの「どこから転校して来たの?」「何の科目が得意なの?」「好きなバンドは何?」といった質問ラッシュで潰されてしまったのだ。
すると、見かねたらしい虎太郎くんが
「キミたち! 花咲さんはこの学校のことを何も知らないんだぞ。理兎、校舎の中を案内してあげなさい」
と声をかけてくれたのだ。
(……あれ? 理兎くんって同じクラスだったっけ?)
「分かったよ、兄さん」
「うわあっ!?」
背後からの声に飛び上がる。振り向くと理兎くんが、ぼんやりと立っていた。
この双子は正反対だ。持ち前の明るさで人を惹きつけるのが虎太郎くんなら、良くも悪くも自然体すぎて気配を感じないのが理兎くんだ。
どっちが良いかは時と場合によるだろう。いきなり声がすると驚いて心臓止まるかと思うし。
まあ、そんなわけで私は理兎くんの案内のもと、堀北高校の中を案内されている次第だ。
「ここが保健室で、まっすぐ行くと体育館……ケガした時とかに覚えておくといい感じ」
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