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あいつはいつも、どんどん先へと羽ばたいてしまう。わたしは追いかけるのがやっとで、それでも全然追いつかなくて、焦ってばかりいた。
そうやって先に行ってしまうくせに、時々気まぐれで戻ってくる。何をしに来たかと思えば、わたしに手を差し伸べてくれた。
『一緒に行こう』
わたしなんか気にしないで、ずっと先へ行ってしまえばもっと世界は広がるのに。
あいつはバカだって思う。
わたしなんかに構わないで。
そう思う一方で、わたしは差し伸べてくれた手を掴もうとしている。まるで、わたしがあいつを利用しているみたいで、すごく嫌な奴に思えてくる。
嫌いだ。こんな自分が嫌い。
だから変わりたいと思ったんだ。自分を変えるために、いい機会だと思った。
入学式。中学までの自分を捨てて、全てを新しく始めたいと望んだ。
初めて入る教室。新しい机、新しい椅子、新しいクラスメイト。新しい制服を着て、新しい生活が始まる。
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