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そんな時だった。
「歩美、今日ゲームしねぇ?」
翼がわたしに話しかけてきた。
わたしと翼はよくゲームをして遊んでいた。家庭用ゲーム機から、スマホのアプリゲームまで。所謂、ゲーマーになるんだろうけど。
でも最近は翼を避けていたから、そんな誘いをしてくるなんておかしい。遊ばないってわかっているはずなのに。
だいたい、そんなこと大声で言わないでよ。恥ずかしい。
「なに? ゲームやるの?」
「普通に本読んでそうな子かと思った」
「あたしもゲーム好きなんだけど、歩美ちゃんってどんなのが好きなの?」
翼がわたしを誘った一言だけで、周りにいたクラスメイトが集まってくる。わたし、何もしていないのに。
これってもしかして……。
わたしは翼を振り返る。
あいつはすでに違う友達と話していて、わたしの視線には気づいていないみたい。
また、助けられたのかな。
「歩美ちゃん。いろいろ教えてよ」
「うん、いいよ」
「フレンド登録して!」
「わたしでよければ」
ホームルームが始まるまでの時間。わたしはクラスメイトに囲まれて、ゲームの話ばかりしていた。
翼は時々、加わってきてわたしを茶化す程度で邪魔をしない。
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