君と桜色の頬

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　翼はいつもムードメーカーで、幼なじみのわたしはその影響をちょっと受けてクラスの中心にいることが多かった。

　今回もそう。翼がわたしを助けてくれた。

「おお、賑やかだな。席に着け。入学早々で悪いが、決めなきゃならんことがいっぱいあるぞ！」

　担任がクラスに入ってきて、それぞれがバタバタと席に戻る。

「歩美ちゃんって面白いね」
「そんなことないよ」

　前の席にいたクラスメイトが座ったまま振り返る。

「翼くんだっけ？　彼氏？」
「違う。ただの幼なじみだよ」
「へー。幼なじみか。なんだか羨ましいな」
「そう……なのかな？」

　幼なじみ。
　どうしてか、みんな羨ましがる。仲のいい男女っていいよねって言う。

　わたしはそう思わない。

　男女にしては近すぎるし、恋人としては遠すぎる。恋をしてしまうと、辛いことばかり。

　それに迷惑ばかりかけていて、すごく申し訳ない気がするから。