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第1話 はじまりの嘘
学校の始業時間は、八時三十分である。
五分前に予鈴が鳴って、その後に鳴る本鈴を合図にして、教室に先生が入ってくる。
すると騒いでいた生徒たちが席につき、HR…つまりホームルーム、朝礼が始まる。
生徒たちはこの本鈴に間に合えば、遅刻にはならないわけだ。
八時くらいに教室にきてのんびりとしていてもいいし、チャイムが響く十秒前に駆け込んできても構わない。朝の時間をどうするかは、生徒たちの自由なのだ。
勿論、遅れてしまえば、先生からお叱りをいただくことになるので、自分で時間を管理することが大切になってくる。
さて、その日の朝。
雨宮ハヤトは、二十五分の予鈴が鳴った頃に自分の席に辿りつき、寝ぼけ眼を擦っていた。
「ふわぁ…ねむ…」
高校二年生のハヤトは、今年で十七歳になる。
しかし身長百六十センチの小柄な体つきで、くりっとした丸い目に童顔という彼には、どこか年齢以上のあどけなさがにじみ出ていた。
ハヤトは、朝が強くない。それなのに、昨日はベッドの中で、夜遅くまで漫画を読み耽っていたのだ。
遅刻するのがイヤなので、なるべく早い時間に来ようとするのだが、眠気が邪魔をして思うように体が動いてくれない。
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