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童顔のハヤトとは対照的に、切れ長ですっきりとした目鼻立ちの彼女は、どこか大人びた雰囲気が漂っている。
何より、背がハヤトよりも高かった。
高校二年生女子の平均身長は百五十八センチであるというから、百六十センチを超えるキョーコは女子の中でも背丈がある方だが、それでも他の一般的な男子には敵わない。
そこへくると、ほんの一、二センチの違いとはいえ、男子のハヤトよりも背が高いのはキョーコの密かな自慢であった。
だがそれをわざわざ口に出すのは、ひとえにハヤトの悔しがる顔が見たいのだ。
何度も聞いたキョーコの挑発的な言葉を、ハヤトは敢えて無視した。
「ほら、そろそろ先生くるぞ。キョーコもさっさと席つけよ」
「つれないなあ。まだちょっと時間あるし、おしゃべりでもしてようじゃないか」
「眠いんだよ。少しでも寝て回復しようと思ってたんだ、お前と話してるヒマなんかない」
「あっそ。ウチは眠くないけどな。毎日八時間寝てるし。あ、よっこいしょっと」
「聞いてないし、机に座るな。ボクの邪魔する気満々かお前」
まさにその通りと言えた。
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