これは所詮、駄文。

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 こんな妄想を高校から書き溜めて、気が付けば七冊目。高校生活とおさらばしてから、妄想が加速した。もう戻らない時間を平坦に過ごしてしまった自覚があるからか。たったひと月足らずで、ノートが一冊丸々、駄文で埋まった。 「……そろそろ、か」  無駄に厳かな始業式があったのは先日のことだ。今日は大学のオリエンテーション。 「お母さん、行ってくる」  鞄を持って、階段を下りながらそう言って、そのまま一直線に家から出ようとする、ずぼらな私。 「ちょっと、沙織。少しくらい化粧して行ったら」  高校までは化粧は校則で禁止されて。それがなんで、大学に入ったら、マナーみたいに強要されるのか。可愛いという自覚があるならまだしも。こんな顔を飾って何になる。私は、お母さんと自分をあしらって、家を出た。
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