寝耳に水だった。

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寝耳に水だった。

 バスと電車を乗り継いで、キャンパスにたどり着く。  ハクモクレンと桜が入り混じり、桜と白の花吹雪。新しい環境だけれど、なにか期待があるわけじゃない私にとってはむしろ、うざったい。なんて、腐っていると、背後から声が。 「沙織、いたんだ。オリエンテーションどこだっけ?」  早苗、高二のときは、同じクラスで、たまに話すくらいだったけれど。同じ大学に通うことになると知って、急に仲良くなった。演劇部で主役を張ったことがあるくらいの美形で、隣にいると、すっごく眩しい。  今日も清楚なイメージのナチュラルメイクで。いかにも男受けしそうなのに、なんでいやらしくないんだろ。 「B棟の五〇一教室」  そっけなく返す。すると、早苗は私の顔を見るなり、少し口を歪めて。 「ああ、もう沙織ー。ちゃんと、おしゃれしなよー」  お母さんみたいなことを言って。  自虐を交えてあしらうと。 「えー、沙織は背も高いし、かっこよくなるって」  一番最近の身体測定だと、百六十六はあったかな。でも、早苗みたいな小柄で可愛いコの方が絶対モテる。  私の口はまた、自分をけなす。また、早苗はむくれた。
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