駄文、読まれる。

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駄文、読まれる。

 平日の昼下がり。こんな時間にインターホンが鳴れば絶対、早苗だ。  玄関のドアを開けると、ボヘミアンな格好に身を包んだ早苗が。 「よっ、また家にいたの」 「さっき、今日いる? って連絡してきたじゃん」  じゃれ合いながら、自分の部屋に上げる。  と、そこで駄文を書いたノートが、机の上に出たまんまになっていることに気づく。げぇ、マズい。  急いで、引き出しにしまう。すると、ぷっと早苗は噴き出した。 「なに、そんな慌てて隠すようなもの?」 「いやー、ちょっと……」 「やっぱ、初動が二人ってのはきついよね。直接誘ったりしてるけど、来てくれないや」 「えぇ、早苗に誘われて断る男とか、いるの?」 「あたしを万能みたいに言わないでよ」  母体は、無料ツールで、宣伝文句を並べて。でも、そんなもので人は来るわけもなく。サークルのサイトだけ一人歩きして、学内サイトにぶら下がるようになって一週間が過ぎた。でも、おかげで早苗は、私の部屋によく来てくれるし、一緒に動画編集を勉強したりして、まあ、充実はしている。
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