6人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
駄文、読まれる。
平日の昼下がり。こんな時間にインターホンが鳴れば絶対、早苗だ。
玄関のドアを開けると、ボヘミアンな格好に身を包んだ早苗が。
「よっ、また家にいたの」
「さっき、今日いる? って連絡してきたじゃん」
じゃれ合いながら、自分の部屋に上げる。
と、そこで駄文を書いたノートが、机の上に出たまんまになっていることに気づく。げぇ、マズい。
急いで、引き出しにしまう。すると、ぷっと早苗は噴き出した。
「なに、そんな慌てて隠すようなもの?」
「いやー、ちょっと……」
「やっぱ、初動が二人ってのはきついよね。直接誘ったりしてるけど、来てくれないや」
「えぇ、早苗に誘われて断る男とか、いるの?」
「あたしを万能みたいに言わないでよ」
母体は、無料ツールで、宣伝文句を並べて。でも、そんなもので人は来るわけもなく。サークルのサイトだけ一人歩きして、学内サイトにぶら下がるようになって一週間が過ぎた。でも、おかげで早苗は、私の部屋によく来てくれるし、一緒に動画編集を勉強したりして、まあ、充実はしている。
最初のコメントを投稿しよう!