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ソファーに腰かけ、煙草に火を点す。煙が曖昧に漂う。妙子はぼんやりとその煙を目で追うが、やがて煙はその輪郭を失い、虚空に溶け込んでいく。
妙子はそれを見届けると、冷蔵庫から缶ビールを取り出して、プルタブをあけるとそのまま飲む。こうして毎夜一人で酒を呑むのが習慣になってしまっている。会話をする相手もいないので、自ずと酒を呑むペースが速くなり、酔いもすぐ回る。
化粧を落としたい欲求と、面倒臭い気持ちが葛藤する。「ちょっと横になろう」誰にともなくそう呟いて、煙草を灰皿にこすりつけるように消して、妙子はソファーに倒れこんだ。すぐさま、深い泥に沈みこむような感覚に覆われ、妙子は瞬く間に眠りに落ちた。
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