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入場許可証を手に通路から二階に上がる階段を上りきると、『pater 控室』と書かれたプレートが目に入る
劇場の二階席のような造りで、壁やガラスなどは何もなく、そのまま一階のフロアが見下ろせた
劇場とは似てても一階に座席はなく、鏡の壁に
ぐるりと高さ違いの手摺りが二本着いている
レッスン室にしては珍しい造りだった
「午後のレッスンが始まってる」
先に歩く匡哉は、フロアを見渡せる適当な位置の椅子に座り眼鏡をかけた
2、30人位だろうか、10歳~15、6歳くらいの男の子ばかりが、Tシャツにピタリとした黒い短パンを身に付けて、それぞれにストレッチをしている
「男子だけのスクールか? ここは」
横に座って訊くと
「ここは男の子だけだよ。
悠人は知らないかもなー、ここ出来たの俺たちが海外赴任してる時だから」
匡哉は視線をフロアに落としたまま膝に肘を付いて、両手の指先を合わせた
「匡哉、俺たち何しにきたんだよ」
「いいから、いいから」
匡哉の視線はすでに階下の少年達に注がれている
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