ルーンヌィ バレエスクール

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「いわゆる現代で言うパトロンではありません。 ですから、我々はあえて『パテル』と呼んでいます」 「パテル」 「ラテン語で『父親』と言う意味を持っています。 、、、パテルと、クリエンテラ、、、つまり『援助を受ける子』のことですが、双方の合意のもと正式な契約を成立させれば家族のように生活を共にすることも出来ます。 、、、親の無い子や、事情により寮生活をしている子がほとんどなので」 「恋人としても、ですよね?」 匡哉が真剣な面持ちで口を挟んだが、 「、、、合意があれば」 倉木からはあまり歓迎はしないという表情が見て取れた 「倉木さんは現役ですか?」 そう訊いたのはフィットしたシャツを通してでも分かるダンサー特有の肉付きと、コーディネーターとして説明しながらもレッスンに励む一人一人を、独特の厳しい目で追っていることに気づいたからだ 「あなたと同じで、もう現役は降りています。 しかし未だバレエの魅力には取り憑かれていますから、身体を維持しつつ彼らの才能を開く事に邁進してますよ」 と表情を和らげ、生徒達が足をあげる度に 小さく指や顎を上げては、 『先を伸ばして』とか 『もっと高く』 などと呟いていた
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