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こうしてあたしの告白は終わった。
ぎこちなく圭介に微笑み、背中をむけて歩いていく。
先程から降り始めた雪は静かに積もり、あたりを真っ白に染めていた。
あたしはそこをひとりで歩く。
心が寒い。
道沿いに並ぶ家の電飾を見て、今夜がクリスマスであることを思い出した。
世間はクリスマスを幸せな時間だというけれど、果たしてそうなのだろうか?
多くの人はひとりぼっちであったり、泣いていたり、幸せを夢みていたり、そんなふうに過ごしているのではないだろうか?
二十間坂にさしかかると、教会の鐘が鳴った。
ハリストス正教会の鐘の音だ。
圭介と行った思い出の教会。
子供だったあたしが圭介との未来を夢みた教会。
あの頃は純情でバカだったなと苦笑してしまう。
そのバカっぷりは今でもあまり変わっていないけれど、あの頃は毎日圭介のことを考え、どうでもいいことに期待し、ときめき、落ち込んだりしていた。
でも、あれはあれで楽しい時間だった。
坂の上に立つと、涙が溢れて来た。
目の前には函館湾のイルミネーション。
そのまぶしい光が涙でぼやける。
もうっ、どうして涙が……。
必死にぬぐうが、涙は次から次へと溢れて来る。
あたしは決めた。
この坂を下りきるまでは思いきり泣こう。
思いきり泣いて、目の前の現実としっかり向き合おう。
今までは中途半端だったからいけないんだ。
この坂を下りた時、あたしは新しい自分に生まれ変わる。
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