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それから3ヶ月後。
雑誌の取材を終えて、東京の街を歩いていると、偶然あいつに出会った。
「うん? あんたは確か函館の……」
「げっ!」
「相変わらず中途半端な美人だな」
「中途半端はいりません!」
「会いたくないやつに会ってしまったな」
「それはあたしも同じです!」
〝理恵子にフラれてザマーミロ男〟の吉岡達也だった。
そのまま無視して行こうとすると、この強引・傲慢男はとんでもないことを提案してきた。
「そうだ、あんた、試しに俺とつき合わないか?」
「は?」
よく聞こえなかった。
今、とんでもなくおかしなことを言われたような……。
「理恵子にフラれてから女関係が絶不調でさ。話してると結構面白いし、あんたでもいいや。フラれた者どうし仲良くしようぜ」
信じられない。
開いた口がふさがらないとは、このことだ。
「誰があなたなんかと! まずはその愚かで自己中な性格を何とかしなさい!」
「てことは、愚かで自己中な性格を直したらつき合ってくれるってことか?」
「その性格、絶対に直らないから」
季節は春。
桜の花がほころび、青空がさわやかに澄みわたっていた。
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