Prequel 【前編】

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ロメオはここまでと退却信号をあげると、大破したハイザック二機を破棄し被弾したガザDを連れて戦線を離脱した。 「ふぅ…こんな事を何時迄やるつもりなのかしらロメオ隊は」 「隊長、大破したハイザックはどうします?」 「そのまま静かに眠らせてあげましょう、少なからず私達はそのパイロットの家族から彼を奪ってしまった…戦闘とは言えこれ以上の高速は必要ないでしょうから」 Zplusのコクピットの中から宇宙を漂うハイザックを見ながらアリスは敬意を評し敬礼をして船へと帰還した。 小隕石基地Tー36、そこは最低限の修理が可能な浮遊隕石基地で本来なら遠隔操作で起動する仕組みだが廃棄されたこのTー36に今はそんな能力はなく、ロメオ自身が手を加え簡易的な補給ベースに改良した物で、その為にこの宙域を奔走して使えそうな物を集め保管し限りあるエネルギーを蓄えて来た、本来は1週間程度の仮住まいと言う所だが、既にそれを超えている為これで最後の補給となる。 「これで、奴らから何も奪えなきゃ俺らは存続不可能だな付近に友軍はあるのか?」 「その件なら先程応答がありましたが、距離がある様で自力でと突き返されました」 「……ったく、たかが小規模の部隊に差し向ける船などないとでも言うのか…」 「どうします?」 「自力で…だろ?ならこれが最後のチャンスだ、失敗しても速やかに宙域を撤退する、友軍と合流したらまた機会もあるだろうからな」 「ですね…仕掛けますか?最後の攻撃」 「ああ、あのゼータ擬きとは決着をつけたいしな…マルク少尉、お前はガザDでハイザック二機と船に仕掛けろ、上手い事ゼータ擬きは俺が惹きつける、ジムIIIはお前らに任せるぞ」 「了解です中尉、お互いに頑張りましょう」 かくしてロメオ中尉始めとする残存機はコスモゼロに最後の攻撃を仕掛ける事となった、被弾したガザDから使える武器をマルク少尉が譲り受け、同機体は通信任務に専念して彼等の帰還を待つ事になり、残りの四機での最終攻撃を行う為Tー36を離れ駆逐艦コスモゼロへと向かった、時に4月9日未明の事である。
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