1.自分の名前の由来について(クラスのみんなに自己紹介)

1/3
前へ
/44ページ
次へ

1.自分の名前の由来について(クラスのみんなに自己紹介)

 多くの人と同じように、私の名前についてもそれなりの由緒がある。名づけ親から込められた想いがあり、その人たちによって紡がれたエピソードがある。  由緒の内容については、決して恥ずかしいものではないし、むしろ誇るべきものであるだろう。しかしそれを出会って間もない大勢の人の前で発表するのは少し違うのではないだろうか?  4月上旬の午後の教室で、そのような若干の違和感を抱きながらも私は教室の一番目立つ位置に立った。 「私の名前はソーン・ホワイト・優です。父が英国人で母が日本人です」  想像通り、教室内が笑い声でざわつく。  そのノイズが消えるのを待たずに、私は発表を続けた。 「優という名前は、私が優しい人に育つようにと願われてつけられた名前です。小学校ではシャロと呼ばれていました。よろしくお願いします」  目立つのは嫌いだ。それだけ言うと私はそそくさと教壇を降り、自席に着いた。  私が箱浦北中に入学して次の日。1年2組の教室では「自分の名前の由来について」というテーマで自己紹介が行われた。     
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加