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これまでの均衡を破って、私に攻撃を仕掛けるものが現れた。
「外国人じゃん」「なんで日本にいるの?」「日本語しゃべれる?」
最初はちょっとした男子のちょっかいだと思った。
しかしクラス内でカーストの高い女子がそれに加勢すると、雰囲気は大きく変貌した。
ある日から私は「シロ」と呼ばれるようになった。
私の髪の色がゴールデンレトリーバーみたいな色をしている事と、私のミドルネーム「ホワイト」を文字って付けられた「犬みたいな名前」であることは、後から私の耳に入ってきた。
ともあれ、この学校に転入してから初めて与えられたあだ名を、私は不愉快に思った。とてもとても、不愉快に思った。
さらに悪いことは、そのあだ名がはた目には悪口には聞こえないことだ。そのあだ名の由来を知っていなければ、誰も悪口だとはわからない。
いっそのこと、もっと単純な悪口だとしたら、学校の先生に相談することもできただろうに。
私にとっての唯一の救いは、この学校で過ごす残り時間の少なさだった。
あと1年半の間この環境で耐え抜けば、中学に上がれる。中学ではみんなとは違う学校に行って、人間関係をリセットできる。
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