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クラスは新しくなったが、そこには元のクラスの人も幾人か混ざっていた。そのため、あの嫌いなあだ名で呼ばれることは継続された。中でも上原萌香という女子が、私のあだ名や嘘の噂を積極的に吹聴して回っているという事実は誰の目にも明らかであった。
「シロ」という私のあだ名が決して良い意味ではないと知っている者もいたはずだが、校内ヒエラルキーの高い彼女の言動をあえて止める者はいなかった。彼女に反抗して、攻撃の対象が自分に向かうことを誰もが恐れていたのだろう。
新しいクラスの席は名前の順で決められた。去年度は窓の外を眺めることができる好位置に座ることができたが、今年度は教室の真ん中あたりに座ることとなった。
もうひとつ変わったことがある。同じクラスに転校生の女子が一人やってきたのだ。
そしてその人物は、私と同じ髪の色をしていた。
彼女はとても利発で、社交的な性格だった。周囲と違う髪の色や、小学6年生から新しい人間関係を築くことの不利をものともせず、すぐにクラスに打ち解けた。そればかりか、いつしかクラスの中で欠かすことのできない1ピースになっていた。
そんな彼女から最も多く話しかけられたのが、なぜだかこの私だった。誰に対しても明るく積極的に接している彼女だが、私に対するそれはより一層特別なものだった。
私の1つ後ろの席に座る彼女は休み時間など、いつも私の肩を叩き、
「シャロ、シャロ」
と呼び掛けてきた。
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