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9.二人だけの世界
7月23日の午前7時少し前、私と彩は水族館の横にある木陰に隠れていた。私たちが連日、散歩の待ち合わせに使用していた場所のすぐ近くだ。そこは小さな高台に位置しているため、浜辺の様子がよく見渡せる。
まだ朝早い時間ではあるが、周囲の気温はすでに25℃を超えているだろう。日陰でじっとしている分にはまだましだが、私たちの視線の先のシフォンケーキみたいな砂浜は暑い日差しの中でじりじりと焼かれ始め、見ているだけで体感気温が3℃くらい上がった。
それでもそこから視線を外すわけにはいかなかった。いずれ現れるだろう2人の姿を見逃すまいと、私たちはじっと暑さに耐えた。
アインシュタインが相対性の中で証明した通り、楽しい時間は早く過ぎるものである。夏休みが始まってすでに3日が経っていた。
夏休み初日の20日と、その翌日に散歩をしたが、昨日は一日彩の家に引きこもって夏休みの宿題を片付けていた。昨日散歩をしなかったのは、事件が起きる日時に目星がついたからだ。
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